須田幸英税理士事務所 事務所通信 平成28年4月号掲載
欧米では・・・
 先日、平成28年度予算案が承認可決されました。これに伴い平成28年度改正税法も確定しました。消費税が平成29年4月1日の消費税率10%への引き上げと同時に、軽減税率が導入されます。
 ところが、報道等では消費税率引き上げの延期・凍結論も根強いようです。
一方、経済同友会の小林代表幹事は「約束通りに引き上げて、いいタイミングで財政出動すべきだ。無理をしてでも引き上げることが必要だ」「安倍政権が税率を引き上げられないなら、今後税率は8%で固定してしまう」と述べているようです。経団連も引き上げるべきだという方針のようですし、日
本商工会議所の会頭も「現在の経済は悪くない。10%までは消費税率を引き上げるべきだという全国の商工会議所の意見集約に変化はない」との報道もありました。

 私はどこかの時点で消費税率を上げなければならないとは思いますが、軽減税率の導入はいかがなものかと思います。全体の税収を考えれば、軽減した穴埋めを他の物品・サービス等への重税率で補わなければなりません。
 今後10%どころか早急な15,20%への税率引き上げが必須となります。

 そして、軽減税率の議論の中で標題の「欧米では・・・」ということが盛んに言われていますが、欧米が本当に消費税の先進国なのでしょうか?
 確かに消費税導入の歴史が長いことは間違いありませんが、軽減税率の導入が良かったといえるのでしょうか?

 私は、軽減税率は導入しないで欧米のような20%台の税率とならないところで固定した方が良いと思います。
 
 そして、今後の税のあり方を考えた場合、スーパーでの買い物時の負担感がどうのこうのという目先のことばかりを追うのではなく、一度完全にリセットしたうえで年金・社会保障等のあり方とともにあるべき税制を確立して行くのが筋だと思います。
 私の考え方に異を唱える方も多いかと思いますが、いたずらに欧米の後を追うばかりでなく、日本独自の消費税の考え方があっても良いのではないかと私は思います。

    
                所長 須田幸英
 事務所通信4月号掲載
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